結婚相手選びの数学

意思決定における満足化ヒューリスティックの問題の中に、有名な「秘書問題」というのがあります。

ここに100人の秘書候補がいます。採用者側としては、この中で是非とも一番優秀な秘書を採用したいわけですが、試験の都合上、一人一人と順番に面接し、その場で採用/不採用の通知をしなければなりません。不採用を通知した人は、後からそれを撤回して採用することは出来ません。

さて、ここで問題です。この100人の中から、最も優秀な人材を採用するためには、どのような選択をすればいいでしょうか?

統計学者のジョン・ギルバートとフレデリック・モステラーは、1966年にこの問題に対して数学的な解を与えました。

それは下記の通りです。

1:まず最初の37人は、どんなに優秀だと思っても採用しない
2:次に38人目以降で、最初に会った37人より優秀だと思える人が現れたら、この人を採用する

この様に選択することで、この100人の中から最優秀な人材を採用できる期待値が最大化されます。

この考え方は、色々なシチュエーションに適用できますよね。

例えば、レストラン選び。

パリを訪れてレストランを探していて、腹具合からすると、あと一時間くらいでレストランを決めてしまいたい。

一時間で10件くらいのレストランを見て回れるとして、もっともいいレストランを選択できる可能性を高めたいとすれば・・・

最初の3件は見るだけにして、4件目以降で最初の3件より素敵だと思えたレストランがあったら、そこに入る、というのが解になります。

・・・・・・・・・

ということで最後に、この満足化ヒューリスティックの問題を結婚に当てはめて考えてみます。

生涯で深く付き合うことになる恋人が10人現れるとして、この中の何番目で結婚を決意するか、という問題ですね。

この場合、解としては

1:まず最初の3人は、どんなに素敵だと思っても結婚しない
2:次に4人目以降で、最初の3人より素敵だと思える人が現れたら、その人と結婚する

ということになります。

独身の皆さん・・・いま付き合っている人、生涯で何番目ですか?

もし相手が4番目以降で、以前の恋人よりその方が素敵だと思えるのなら、

迷わず結婚せよ

というのが、数学上の解ですよ。

うーん・・・・

ちなみに心理学や実験経済学では、この「秘書問題」を実際の人間を使って実験し研究してきているのですが、その結果として、

人は、多くの場合、あまりにも早く決定を下してしまう

ということが分かっています。

これは対象を評価するコストがその理由の一部と考えられています。

この結果を実世界に適用して考えてみると、人間は逐次的に判断を下す必要のある場面で十分に検討しないまま、意思決定を行ってしまっている可能性があることが示唆されます。

この示唆を、結婚相手選びという文脈で考えれみれば、人は

選び過ぎて良い相手を逃してしまうよりも、短兵急にイマイチな相手と結婚してしまう

ことが多いということになりますが・・・・さてさて。