Sunday, October 31, 2010

人生の豊かさの積み重ね方


戦略コンサルティングファームに在籍して既に7年になるのですが、最近ちょっとこの職業が強制する「豊かさのあり方」に疑問を感じています。

単純に言えば、戦略ファームに居て味わえる豊かさというのは

3ヶ月間はコンビニ飯+連夜の残業+休日出勤でがまんし、休みのときには高級リゾート+高級レストラン+ラグジュアリブランドショップでの買い物を楽しむ

というもので、古典的には「大統領の様に働き、王様の様に遊ぶ」というライフスタイルを理想とする考え方です。大統領が働いてばっかりで、王様が遊んでばっかりなのか、という疑問が浮かばないわけではないのですが、まあ要するに極端にメリハリのついた生活ということですね。

で、その生活スタイルを理想とする風潮そのものに、これはどうなんだろうと最近思い始めています。端的に言うと、人生を総決算として〆たときの収支に、もっとも大きく影響するのは、ごく普通の毎日の営みをどれだけ小さな豊かさで積み重ねられるか、ということなのではないか、ということです。

例えば戦略ファームのプロジェクトでは、佳境に入ってくると会社の行き帰りがハイヤーになり、食事も殆ど仕事しながら取る、という形になります。そうなると当然、家族との対話や季節の移り変わり、それは例えば秋であればキンモクセイの香り、春であれば栴檀の香りといったもの、あるいは読書や音楽を楽しむ、といった時間とは無縁の生活になります。こういった極めてドライな時間の後に、人によりますが

:六本木のキャバクラでクリュッグを頭からかぶる
:パリに滞在し、グランメゾンで毎夜連続フォアグラを食い、尿酸値を跳ね上げる
:バーニーズ・ニューヨークでフロア丸ごと買い切る

といったことで人生のバランスを取ろうとするのが戦略コンサルタントや投資銀行マンですが、昔はかくいう僕も嫌いではなかったのですが、最近は「疲れる」ということで、オフの時は

:家でチェロの練習をし、音色に酔いしれる
:コレクションのシングルモルトを、好きな音楽を聴きながら楽しむ
:自転車で知らない街まで遠出する
:阿部謹也先生の中世に関する研究論文を読む

といったことの方が、ずっと幸せを実感できる様になってきてしまっているんですよね。

で、これは間違いなく断言できるのですが、今が、これまで過ごしてきた人生の中で、間違いなく最も幸福なんですよね。それは何故かというと、心がけて一日一日に小さな豊かさを積み重ねて行く様にしているからなのではないか、と思うのです。

今日一日を、丁寧に、大事に生きる

ということが、結局は「幸せな人生」につながるのではないでしょうか?今日は捨てるけど明日で取り戻す、ということが出来ないのが人生の難しさなのだと思います。



No comments:

Post a Comment