Friday, October 8, 2010

今週


夏から担当していたプロジェクトが一旦終わり、フェーズ2の開始まで少し時間が出来たので、読書やチェロの練習、ジョグにいそしんでいます。

1:読書
相変わらず一冊の本を集中して読む、という読書スタイルがダメで数十冊の本を同時進行で読んでいます。いくつかかいつまんでご紹介。

:Born to Run 走るために生まれた
一日に数十キロ〜百キロを走る南米の部族、タラウマラ属と、「走る」ことに取り付かれた現代のウルトラランナーの対決を描いたルポです。ウルトラマラソンとは、100キロ〜200キロを争うマラソンですが、通常のマラソンでの常識がいろいろと崩れるのが面白い。例えば女性と男性の差はフルマラソンでは如実ですが、ウルトラマラソンでは殆ど無くなるとか、ね。

面白かったのは、200キロ走るのなら「はだし」が一番いいシューズなのだという科学的な根拠を説明している箇所でした。統計的には、クッションの良い高価なジョギングシューズであればあるほど、故障を起こすリスクが高まるのだそうです。皆が皆、一日に数十キロ〜百キロを走るタラウマラ属は、タイヤを切って作ったサンダルで走りますが故障は皆無なのだそうで、当初は食べ物とか走る場所が土だからとか、色々言われていたのですが、どうもシューズに原因があるらしい。それが証拠に、シューズが進化したここ20年の間で、アマチュアランナーに発生する故障の確率はむしろ上昇しているのだそうです。

アディダスやナイキ、アシックスといったメーカーは、クッション性の良さやかかとのサポートといった機能的付加価値をアピールしてどんどん高価なシューズを出しますが、これらのシューズを使うことによって故障が減る、ということを科学的に立証したレポートは、一つもない、のだそうです。要はマーケティング上の一つのトリックだということですね。

ちょっと信じられないな、と思いながらも、高校時代の自分は日常的に履いていたスニーカーでいきなり10キロマラソンとか出ても、体に何の痛みも感じなかったのが、最近はアディダスの高〜いシューズ履いて10キロ走るとなんか体中がギシギシいうから、本当かもと思ったりもします。単に年のせい、ということかも知れませんが。

:リンドバーグ 世紀の犯罪
リンドバーグの息子が誘拐された上、殺害されたのは有名な事件なのでご存知の方も多いかもしれません。この事件は2年後に犯人が逮捕され、その後電気椅子で処刑されたことで解決されたことになっているのですが、この本は、「それは冤罪であって、本当の犯人はリンドバーグ本人である」ということを様々な証拠を集めて主張しているものです。著者は法律家で、この事件の検証プロセスそのものをプロの目から再検証する、という体裁をとっています。

で、読めば、まあ恐らくそうだったのだろうな、ということをすんなり納得しちゃいます。要するに一種の虐待癖があって、一歳の子供を過失で殺しちゃったんですが、それを誤摩化すために誘拐事件をでっち上げた、ということなんですね。読めば読む程、この20世紀の英雄に対する嫌悪感が募ってきます。

なんで虐待を?

その名前をバンドの名前に冠しちゃったり、そのバンドにまた人気が集まっちゃったりするお国なので、あんまり知られていないのだと思いますが、リンドバーグというのは非常に優性思想に凝り固まった人だった。わかりにくい?要するに白人至上主義者だったということです。

必然的に、当時同様の意見を掲げてユダヤ人をミキサーに入れる様にして処置していたナチス=ヒトラーを礼賛していた。自分は白人の英雄で、白人社会の軍備と人種的優越性が、黒人、黄色人種、褐色人種の進出から世界を救える、とまじで考え、実際にそれをパブリックに発信していたわけです。

で、結婚して子供が出来た。その子は、合指症という先天的な奇形を抱えていた。皮肉なことですが、優性主義に凝り固まった人に、初めて授かった子供に先天的な奇形があったわけです。この子についてリンドバーグがどのように複雑な感情を抱いたのか、それはよくわかりません。ただ、結果的に彼が自分の子供を誤って殺してしまう、という事故に、この複雑な感情が恐らく深く関与しているのだろうな、と思うだけです。

非常に不思議なのは、リンドバーグの奥さんのアンは、非常にリベラルな人で、夫であるチャールズと共に、第三世界を含む様々な箇所に飛行機での冒険に出かけていて、またその冒険を記したルポが大変有名なんですよね。実はアンはチャールズとともに日本にも訪れていて、その美しさ、人々の礼儀正しさに感銘をウケたことを本に記しています。

僕はリンドバーグ本人よりも、むしろ奥さんの残された書籍から、リンドバーグ関連の知識を得たので、この本に描かれている彼の未熟っぷりには本当にびっくりさせられました。

2:音楽
まず音楽関連のDVDを2枚入手してそれが両方とも素晴らしかった。両方ともスティングなのですが、一枚は、16世紀の作曲家/リュート奏者であったジョン・ダウランドの曲を歌:スティング、リュート:エディン・カラマゾフで録音したJourney and LabyrinthのDVD。もう一枚が去年の冬にリリースされた、冬をテーマにしたアルバムIf on a winter's nightのメイキング&ライブDVD。本当に素晴らしい。特にIf on〜の方は、冬のトスカーナにある城で録音が行われるのですが、そこの雰囲気が最高。ライブはイングランドの教会で行われるのですが、これも素晴らしいですね。

このDVDを見て、いろいろと考えさせられちゃいました。一つはスティングという人の知性。ダウランドという人に関する研究や、クリスマスというものについての考え方、「冬」の捉え方なんかですね。

後は、進化するってことかな。スティングって、まあロックミュージシャンですけど、このDVDでは二枚ともクラシックの楽器しか使っていないわけです。それで、スティングらしい音楽をまた新たに作り出す。こういうのが才能っていうんだろうな、と思うわけです。いい顔しているんですよね、スティングが。好奇心が旺盛で仕事が楽しくって仕方がない、という表情。その一方で、今週のBRUTUSに出ていた小室哲哉さんの虚ろな目が、本当に対照的だなと思えました。

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