宮本武蔵と空中給油とヤマト運輸


唐突に思うかも知れないけど、この3つの共通項を考えてみて欲しい、と言われたら貴方はどういう言葉を思いつくだろうか?

頭としっぽの二つは日本人なら誰でも知っているけど、真ん中についてはあまり馴染みのない人が多いかも知れない。空中給油とは、航続距離の短い戦闘機が、地上におりずに空中で飛びながら他の飛行機から燃料の供給を受けるシステムのことを言います。原理的には単純で、燃料を満載した親機が燃料を供給するホースをぶら下げながら飛んで、後から燃料の供給を受ける戦闘機が、ゆっくり親機に近づき、飛行機を微妙に操作してホースを燃料の穴に入れ、ドクンドクンと燃料補給を受けるという、まあそういう原始的かつとんでもない仕組みなのです。

で、最初のお題に戻ると、この3つの共通点ってなんだと思いますか?

答えは先取りした、ということ。武術用語で言う「先(せん)をとった」ということです。

戦闘機の航続距離は短い。燃料が丁度切れる地点に見方の中継基地があればいいけど、そうでないと戦術展開の自由度は大幅に制限される。そこで、ちょっとネジの緩んでいる人はこう考える。燃料が丁度なくなるところで、空中でそのまま燃料補給を受けられたらいいのに、と。しかしこんなアイデア、間に受ける人間は殆ど居ない。結局、このシステムが実現したのは、アイデアを思いついた人も偉いけれども、それを保護して育てた人が一番偉いのだと思う。

南極探検隊の隊長を務められた西堀栄三郎さんは、長く東芝の技術部門にも貢献されて日本のモノ作りの哲学を明文化した人だけれども、彼はよく「アイデアに賞を出すのではなく、そのアイデアを保護し、育てた人にこそ賞を出すべきだ。なぜなら日本に欠けているのはアイデアを出す才能ではなく、アイデアを拾い上げ、周りとけんかしてでもそれを育ててくれる人なのだから」という趣旨のことを言っているけれども、ほんとうにそうだと思う。

ヤマト運輸も、まあそういう経緯があったのですが、興味のある方はヤマト運輸のもと社長で宅配便システムを作り上げた小倉さんの著作、その名も「経営学」をお読みになるといいと思いますよ。